第7部 意識と宗教 第1章|宗教の目的は原意識との再接続なのか?
プロローグ|宗教は何を探し求めてきたのか 人類に、宗教が存在しなかった時代はあったのだろうか。 文明が生まれる以前から、人間は空を見上げていた。 雷や嵐を恐れ、生命の誕生に驚き、死んだ人はどこへ行くのかと問い続けてきた。 私はどこから来たのか。 死ねば、すべては終わるのか。 この世界を存在させた最初の原因は何なのか。 人間は、目に見える世界だけでは答えられない問いに直面した。 そして、その答えを探す過程で神話が生まれ、祈りが生まれ、やがて宗教が形成されていった。 それでは、宗教が本当に探し求めてきたものは何だったのだろうか。 宇宙の外側にいる神なのか。 人間と世界を造った創造主なのか。 死後に入る天国や極楽なのか。 それとも、人間の内側にありながら、私たちが忘れてしまった意識の根源なのか。 本章では、特定の宗教が正しいか間違っているかを論じるのではない。 仏教やキリスト教をはじめとするさまざまな宗教が、異なる言葉の奥で何を目指してきたのかを、意識という視点から改めて考えてみたい。 もし宗教の目的が、外部の神を探すことではなく、個別意識が自らの根源である原意識と再びつながることだとしたらどうだろうか。 宗教の意味は、これまでとはまったく違って見えてくるかもしれない。 1.宗教とは何か 私たちは寺院や教会を見ると、それを宗教だと考える。 経典を読み、祈りを捧げ、礼拝や儀式を行うことも宗教だと考える。 しかし、建物や儀式が宗教そのものなのだろうか。 宗教団体が存在しなければ、宗教も存在しないのだろうか。 宗教の外面的な形は、時代や民族によって異なる。 信じる神の名も違えば、祈り方も違う。 経典も教理も、救いを表す言葉も異なっている。 それでも、その根底には共通する問いがある。 人間とは何か。 生命はどこから来たのか。 なぜ人は苦しみ、老い、死ぬのか。 この世界を動かす根源的な秩序は何なのか。 人間は死を超えることができるのか。 宗教は、これらの問いに答えようとしてきた人類の長い探究である。 したがって、宗教を単なる信仰や制度としてだけ見ることはできない。 宗教とは、人間が自分自身と世界の根源を探そうとした最も古い試みの一つなのである。 それでは、その根源はどこにあるのだろうか。 人間の外側にあるのか。 それとも、問いを発している人間の意識そのものの中にあるのだろうか。 2.宗教はなぜ生まれたのか 人間は、見えるものだけでは満足できない存在である。 身体は見える。 しかし、その身体を生かしている生命そのものは見えない。 脳は見ることができる。 しかし、脳の中で生まれる思考や感情を直接見ることはできない。 人の顔は見える。 それでも、その人が何を感じ、何を考えているのかは目に見えない。 古代の人々も同じだった。 太陽が昇り、季節が巡り、生命が生まれ、やがて死んでいく世界を見ながら、その背後にある見えない力を考えた。 なぜ雨が降るのか。 なぜ大地は実りを与えるのか。 なぜ人は夢を見るのか。 なぜ昨日まで話していた人が、死ぬと二度と答えなくなるのか。 科学が発達していなかったから宗教が生まれた、という説明もできる。 しかし、科学が大きく発展した現在でも、人間の根源的な問いは消えていない。 宇宙がどのように膨張したかを説明できても、なぜ宇宙が存在するのかという問いは残る。 … Read more